C#でもUbuntu+Docker+Jenkins+GitBucket+MonoでCIしたい(CI編)
はじめに
前回はJenkinsとGitBucketの環境を構築しました。 今回は実際にJenkinsでビルドとテストを実行させてみましょう。
プロジェクトの作成
まずはCIをブンブン回すプロジェクトを作成します。
テストの実装及びJenkinsでのテストの実行のために
NUnit
NUnit.Runners
をNuGet経由でインストールし、リポジトリ直下のnuget
ディレクトにNuGetの実行ファイルを突っ込んでおきます。
というわけで今回使ったのがこちら。
なお、弊社はなんとなくGitHubのリポジトリが不用意に増えるのが嫌なのでGitHubに上げてるのは汎用リポジトリに突っ込んじゃってますが、今回の内容ではHelloMonoCi
が独立したリポジトリだと思って下さい。
GitBuckerリポジトリの作成
とりあえずリポジトリを作成して、先程作成したVisual Studioプロジェクトを突っ込んでおきましょう。
Jenkinsビルドジョブの作成
ジョブの作成からフリースタイル・プロジェクトのビルド
を選択します。
設定画面ではとりあえずこんな感じに設定します。
名前は自由で構いません。
Monoはスレーブノードにしか(今回の構成では)インストールされていないので、スレーブノードで実行されるように実行ノードの制限はかけておきましょう。
この辺は特にこれと言った注意点はありません。
あとでweb hookを引っ掛けるので、Build when a change is pushed to GitBucket
のチェックを入れておきましょう。
この辺は好みでどうぞ。
ビルドの最初のステップでNuGet経由でライブラリを復元します。
mono nuget/nuget.exe restore HelloMonoCi/HelloMonoCi.sln
リリースビルドを実行します。
xbuild /p:Configuration=Release HelloMonoCi/HelloMonoCi.sln
後続のテストリザルドパブリッシャー殿がNUnit3形式だと『無☆理』と言って死ぬので--result:TestResult.xml;format=nunit2
を指定します。
mono HelloMonoCi/packages/NUnit.ConsoleRunner.3.4.1/tools/nunit3-console.exe \ HelloMonoCi/HelloMonoCi.Test/HelloMonoCi.Test.csproj \ "--config=Release" "--result:TestResult.xml;format=nunit2"
テストリザルドファイルを指定します。
サーバのローカルアドレスが192.168.0.10
だとかGitBucketのユーザがurikk
だとかどうでもいい情報を全世界に垂れ流しつつ、とりあえずJenkinsはこれでokです。
GitBucker Web Hook
GitBucketのリポジトリに戻ってweb hookの設定をします。
Payload URLにはhttp://192.168.0.10:8090/gitbucket-webhook/
を指定して、あとはデフォルトで大丈夫です。
ここまで来ればもう終わり。あとはGitBuckerにプッシュするだけで優秀な執事がビルドとテストを回してくれます。
おわりに
まぁ、ふつーにWindowsでビルドサーバーを立てるかAppVeyorを使ったほうが圧倒的に楽ですね。 公開前に読み返して『これ何かの意味があるのかなぁ?』と頭を抱えています。
あと、全く関係がないのですが弊社は.NETの単体テストライブラリはMSTestしか使ったことがなく、またMSTestで事足りてたので他のライブラリを使うという発想自体がなく今までNUnitを触ったことすらなかったのですが、NUnitって良いですね。
特にTestCase
によるパラメータ化テストはMSTestには無い*1のでそのうち追加されたらいいな〜とおもいました。
おわり
*1:外部ライブラリを導入すれば同じようなことはできるっぽい
C#でもUbuntu+Docker+Jenkins+GitBucket+MonoでCIしたい(環境構築編)
はじめに
今回はLinuxサーバ環境で半ば無理やりCI環境を構築して.NETプラットフォームのアプリケーションをCIするという誰が得をするのだろうという内容の話です。
具体的に言うと、GitBucketでソースコードをホストして、GitBucketにプッシュされたときにJenkinsでビルド+テスト実行を行うというごくありふれた内容です。 こいつらをDocker上に構築します。
+-------------------+ +-------------------+ | GitBucket | -- (2)web hook --> | Jenkins |----- -->| 192.168.0.10:8080 | | 192.168.0.10:8090 | | | +-------------------+ ---------- +-------------------+<-- | | | | | | (1)push | (4)pull | | (3)order | | (6)return result | | | | | | | +-------------------+ | +-------------------+ | | ---| Windows Client | --------->| Jenkins Slave |--- | +-------------------+ | 192.168.0.10:9000 | | +-------------------+<---- (5)build & test
余談ですが、最初はいつも通り『VB.NETでも〜』という内容にしようと思ったのですが、xbuild
がvbproj
をどうしてもビルドしたくないと言うので急遽C#殿にお越しいただきました。
環境
とりあえず以下の環境を使用しました。
- Ubuntu 16.04
- Docker 1.12.1
- docker-compose 1.8.1
- Jenkins 2.19.1
- GitBucket 4.5.0
- Mono 4.6.1
- Visual Studio 2015 Community update 3
- .NET Framework 4.5.2
- ReSharper 2016.02
- NUnit 3.5.0
- Nuit.ConsoleRunner 3.4.1
セットアップ
Docker・docker-compose
公式マニュアルを以下略。
Jenkins・GitBucket・Jenkinsビルドスレーブ環境構築
まずはGitBuckt環境を構築しましょう。
こちらは特に変わったことはしてません。openjdk-8-jre-alpine
をベースにGitBucketのバイナリをダウンロードして実行しているだけです。
FROM java:openjdk-8-jre-alpine ADD https://github.com/gitbucket/gitbucket/releases/download/4.5/gitbucket.war /opt/gitbucket/gitbucket.war VOLUME /srv/gitbucket EXPOSE 8080 CMD ["java", "-jar", "/opt/gitbucket/gitbucket.war", "--gitbucket.home=/srv/gitbucket"]
Jenkinsは公式イメージを使用しています。
ただ、公式イメージにはMonoの環境が入っておらず、途中でユーザを切り替えてるせいで公式イメージをベースにMono環境を追加するという手法も使えなかったので、別途Monoをインストールしたコンテナをスレーブとして使用しています。(クソポイントその1)
ubuntu:16.04
をベースにビルド及びテスト実行のためのMono、Jenkinsスレーブデーモンを動かすためのJava、Jenkinsのスレーブとして動作させるためにDockerでは禁忌とされているSSHサーバをインストールしています。(クソポイントその2)
何処かで見たことがあると思ったあなた。素晴らしいです。先頭部分はbuildpack-deps:jessie-scm
からパクって拝借してきました。
あとはNuGetにパッケージの復元を許可するためにEnableNuGetPackageRestore
をTRUE
に設定しています。
FROM ubuntu:16.04 RUN apt-get update && apt-get install -y --no-install-recommends \ ca-certificates \ curl \ wget \ && rm -rf /var/lib/apt/lists/* RUN apt-get update && apt-get install -y --no-install-recommends \ bzr \ git \ mercurial \ openssh-client \ subversion \ \ procps \ && rm -rf /var/lib/apt/lists/* RUN set -x \ && apt-key adv --keyserver hkp://keyserver.ubuntu.com:80 --recv-keys 3FA7E0328081BFF6A14DA29AA6A19B38D3D831EF \ && echo "deb http://download.mono-project.com/repo/debian wheezy main" | tee /etc/apt/sources.list.d/mono-xamarin.list \ # && echo "deb http://download.mono-project.com/repo/debian wheezy-libjpeg62-compat main" | tee -a /etc/apt/sources.list.d/mono-xamarin.list \ && echo "deb http://download.mono-project.com/repo/debian wheezy-apache24-compat main" | tee -a /etc/apt/sources.list.d/mono-xamarin.list \ && apt-get update \ && apt-get -y install mono-complete openjdk-8-jdk \ && rm -rf /var/lib/apt/lists/* RUN set -x \ && apt-get update \ && apt-get install -y openssh-server \ && rm -rf /var/lib/apt/lists/* RUN mkdir /var/run/sshd RUN echo 'root:screencast' | chpasswd RUN sed -i 's/PermitRootLogin prohibit-password/PermitRootLogin yes/' /etc/ssh/sshd_config # SSH login fix. Otherwise user is kicked off after login RUN sed 's@session\s*required\s*pam_loginuid.so@session optional pam_loginuid.so@g' -i /etc/pam.d/sshd ENV NOTVISIBLE "in users profile" RUN echo "export VISIBLE=now" >> /etc/profile ENV EnableNuGetPackageRestore TRUE EXPOSE 22 CMD ["/usr/sbin/sshd", "-D"]
あとはこれらのコンテナを上げたり下げたりビルドする為のdocker-compose.yml
をでっち上げれば構築は完了です。
version: '2' services: gitbucket-websrv: build: './gitbucket' ports: - '8080:8080' volumes: - '/srv/mono-ci/gitbucket:/srv/gitbucket' jenkins: image: 'jenkins:2.19.1' ports: - '8090:8080' - '50000:50000' volumes: - '/srv/mono-ci/jenkins:/var/jenkins_home' jenkins-slave-mono: build: './jenkins-slave-mono' ports: - '9000:22'
ちなみにこれらの環境を構築するだけなら10秒*1で終わります。
git clone https://github.com/jyuch/mono-ci.git cd mono-ci docker-compose up
Jenkins・GitBucket初期設定
GitBucket
GitBucketにroot:root
でログインし、自身の作業用アカウントとJenkins用のアカウントを作成しましょう。
Jenkinsアカウントはコントリビューターになれれば良いので管理者でなくても大丈夫です。
Jenkins
アカウント登録後のプラグイン選択画面ではとりあえずおすすめをインストールしておきましよう。
その後、管理画面より以下のプラグインをインストールします。
- GitBucket Plugin
- NUnit plugin
その後はJenkinsの管理
> ノードの管理
よりスレーブノードを登録します。
今回の構成ですとSSHポートは9000なのでそこだけは注意が必要です。
最後にCSRF対策
のチェックボックスを外します。セキュリティを切るのはいささか気が引けますがこの作業をしないとGitBucketからのweb hookが通らないのでまぁ仕方ないのかなと自分の中で折り合いを付けながらチェックボックスを外すか別のいい感じの方法を探して下さい。いい感じの方法がありましたら教えてください。
ここまでで初期セットアップは完了です。お疲れ様でした。
*1:イメージのプル・ビルド時間を除く
VB.NETでも制約ソルバーを用いて数独を解きたい その2
はじめに
前回は地獄のSMT-LIBコピペ祭りを経て、z3で数独を解くことに成功しました。 今回はVBから制約を発行してz3に数独を解かせてみましょう。
.NETバインディング
z3には.NETのバインディングが用意されており、P/Invoke祭りやCOM祭りをやらなくともz3の機能が利用できます。やったね
まぁ、CodeDOMからコードを生成するのによく似たつらみが待ち構えているので結局アレですけど。
z3のGitHubページからライブラリをダウンロードして、Microsoft.Z3.dll
を参照に加えましょう。
また、Microsft.Z3.dll
は単なるバインディングなので、libz3.dll
も一緒にコピーしておく必要があります。
あと、libz3は(たぶん)ネイティブなので、ダウンロードしたアーキテクチャに合わせて.NETのアーキテクチャを合わせておく必要があります。 WOW64の加護により64bitOSでも32bitアプリケーションが動くので今回はx86を使用しています。 アプリケーションに割り当て可能なメモリ量の制約や若干のオーバーヘッドなどがありますが、今回は目をつぶりましょう。
余談ですが、x86のネイティブライブラリを使用しているプロジェクトで、Debugビルドはx86に直してあるのにReleaseはAnyCPUのままになっていてReleaseすると無事に64bitOSで死ぬみたいな間抜けな事があったので気を付けましょう。
数独
正直なことを申しますと、z3の公式サンプルに数独を解くコードがあるのでそちらを参考にしました。
Dim opt = New Dictionary(Of String, String) opt("proof") = "true" Using c = New Context(opt) Dim solver = c.MkSolver() Dim cells(8)() As IntExpr ' x_1_1 から x_9_9のシンボルを生成 For i = 0 To 8 Dim r(8) As IntExpr cells(i) = r For j = 0 To 8 cells(i)(j) = CType(c.MkConst(c.MkSymbol($"x_{i + 1}_{j + 1}"), c.IntSort), IntExpr) Next Next ' (assert (and (<= 1, x_?_?) (>= x_?_? 9))) For i = 0 To 8 For j = 0 To 8 solver.Assert( c.MkAnd( c.MkLe(c.MkInt(1), cells(i)(j)), c.MkLe(cells(i)(j), c.MkInt(9)))) Next Next ' (assert (distinct x_?_1 ... x_?_9)) For i = 0 To 8 solver.Assert(c.MkDistinct(cells(i))) Next ' (assert (distinct x_1_? ... x_9_?)) For j = 0 To 8 Dim col(8) As IntExpr For i = 0 To 8 col(i) = cells(i)(j) Next solver.Assert(c.MkDistinct(col)) Next ' (assert (distinct 3x3のあのマス)) For i0 = 0 To 2 For j0 = 0 To 2 Dim square(8) As IntExpr For i = 0 To 2 For j = 0 To 2 square(3 * i + j) = cells(3 * i0 + i)(3 * j0 + j) Next Next solver.Assert(c.MkDistinct(square)) Next Next Dim inst = { {0, 0, 5, 3, 0, 0, 0, 0, 0}, {8, 0, 0, 0, 0, 0, 0, 2, 0}, {0, 7, 0, 0, 1, 0, 5, 0, 0}, {4, 0, 0, 0, 0, 5, 3, 0, 0}, {0, 1, 0, 0, 7, 0, 0, 0, 6}, {0, 0, 3, 2, 0, 0, 0, 8, 0}, {0, 6, 0, 5, 0, 0, 0, 0, 9}, {0, 0, 4, 0, 0, 0, 0, 3, 0}, {0, 0, 0, 0, 0, 9, 7, 0, 0} } For i = 0 To 8 For j = 0 To 8 If inst(i, j) <> 0 Then solver.Assert(c.MkEq(c.MkInt(inst(i, j)), cells(i)(j))) End If Next Next If solver.Check() = Status.SATISFIABLE Then Dim m = solver.Model For Each i In cells For Each j In i Console.Write($"{m.Evaluate(j)} ") Next Console.WriteLine() Next Else Console.WriteLine("Failed to solve sudoku") End If End Using
おわりに
z3で数独を解くこと自体は前回の時点で出来てるので今回は特に感動もないのですが、まぁなるほどなといった感じです。 しかしまぁ、慣れは必要ですが問題を数式で表現さえ出来ればアルゴリズムを実装せずに解けるというのはかなり強力ですね。
公式サンプルではほとんどの制約を(and ...)
で連結してAssert
を2つにまで削減してました。
内部実装的にこうしたほうが早いというのがあるのかもしれませんが、今回は分かりやすさの為に条件一つ一つにAssert
を適用しました。
おわり